木浦(モクポ)出身の友だちが一人います。
大学の頃にソウルへ出て、今では中年になったので、
もうモクポの人というよりソウルの人だと言ってもいいのかもしれません。
でも夫婦そろってモクポ出身で、
両家の両親や兄弟姉妹はみんなモクポに住んでいます。
今でも一年に何度かはモクポを訪れているので、
ソウルに住んでいるけれど、まだモクポの人だと言ってもいい気がします。

この友だちと一緒に、モクポで会ったことが二、三回あります。
両親に紹介してもらった店に行ったり、
地元の友だちたちと会って、ソジュを飲んだりもしました。
そのとき紹介してもらった店の一つが、僕の好みにぴったりで、
それ以来、モクポに来るたびに必ず立ち寄って、ここで夕飯を食べています。
あるとき、タクシーに乗ってこの店へ行こうとしたら、
運転手さんに
「地元の人じゃなさそうなのに、どうしてこの店を知ってるんですか?ここは地元の人しか来ない店ですよ」
と言われたほど、
本当に地元の人に愛されている店でした。
最近、どこかのYouTubeに出たらしく、
検索すると、かなり知られるようになってきたみたいです。
常連にとっては、むしろ少し居心地が悪い状況ですね。
あ、自分で「常連」って言ってもいいのか、ですか?
うーん……。
ソウルに住んでいる人間が、この店に四、五回通ったくらいなので、
常連とまでは言えなくても、
かなり好きな店だとは言えると思います。

とにかく、この店の名前はソンギョンジュンチフェチプです。
場所が少し変わっています。
旧市街でもなく、新市街でもなく、どこかの港の前でもなく、
人里離れた海沿いの道路にぽつんと建っている店なので、
アクセスがいいとは言えません。
それでも、どうやって知るのか、みんなちゃんと訪れてきます。
今回行ったときも、ほぼ満席でした。



友だちに聞いた、この店の看板メニューは
ジュンチフェムチム(ジュンチの和え物)とアグタン(アンコウスープ)でしたが、
僕はこの店のピョンオチム(マナガツオの蒸し物)がとても好きです。
なので、席に着くなり、すぐにピョンオチムを注文しました。
二人前からしか頼めないのを知っていたので、二人前でお願いしました。
ピョンオチムは、どうしても少し時間がかかる料理ですよね。
それで、出てくるまでのつまみとして、
ジュンチフェムチムも一皿注文しました。
一人で三人前分の料理を頼んだことになります。
まあ、どうせ全部食べられなければ、少し残して出ればいいんです。
食べたいものを食べられないほうが、
よっぽど心残りになるということを、今ではよく分かっています。
一人旅をしていると、たまに起こることです。

大きなピョンオが二匹入ったピョンオチムは、
いつものように、その柔らかい身をしっかり感じられるよう、
弱めに火を通してありました。
でも、今回は少し問題がありました。
今回食べたピョンオチムは、少し生臭さがあったんです。
ピョンオは夏が旬の魚ですよね。
今は真冬なので、冷凍のものを使っているのは理解できますが、
それでも匂いが出てはいけません。
身はとても柔らかく、火の入り方もよかったです。
味付けも本当においしく、野菜もよかった。
だからこそ、少し残念でした。
ピョンオチムは、
僕がこの店でいちばん好きなメニューです。
来るたびに必ず頼んでいました。
ほどよいタイミングで火を入れたピョンオの、
あの柔らかい身の食感が本当に好きで、
僕が食べてきたピョンオチムの中で、
ここが一番だと思っている店なんです。
やっぱりピョンオは夏に食べるべきだな、
と、改めて感じました。
そういえば、今までずっと夏にモクポを訪れていました。
だから、あのときのピョンオチムはよりおいしかったのかもしれません。

ジュンチフェムチムは、やはり最高でした。
甘酸っぱくてピリ辛の味付けに、
柔らかさと歯ごたえを併せ持ったジュンチの食感、
そこにタマネギやキュウリなどの野菜が加わって、
本当に見事な和え物でした。
少し生臭さはあったけれど、
相変わらず柔らかいピョンオの身を食べたあと、
口直しにジュンチフェムチムを一口食べると、
気分が一気によくなりました。
これを頼んでいなかったら、本当に大変なことになるところでした。

結局、おばさんに「ビビン用の器をください」とお願いしました。
すると、大きなどんぶりにゴマ油をたっぷりかけて出してくれます。
そこに残ったジュンチフェムチムとご飯を入れて、よく混ぜました。
これはもう、言葉で説明するのが難しいほどのおいしさです。
今この写真を見ているだけでも、
また唾が出てくるほどの、そんな強烈な味でした。
次は必ず、ピョンオの状態がいい夏に来て、
この組み合わせにもう一度挑戦したいです。

気分よく夕飯を終えて、タクシーを一台呼びました。
ハダン新都市にあるホテルへ戻らなければならなかったからです。
タクシーに乗ると、怪しげなモニターとマイクがありました。
何だろうと思っていると、運転手さんが「携帯番号の下四桁」を聞いてきました。
呼んだ本人かどうかの確認だろうと思って教えたところ、
突然音楽が流れ出し、モニターには歌詞が表示されました。
あ、これ、カラオケの機械なんですね。
しかも今流れている曲は、
さっき教えた携帯番号を入力して出てきた曲で、
これが僕の「運命の歌」なんだそうです。
生まれて初めて聞く「運命の歌」を聴きながら、
いい気分でホテルに戻りました。
曲のタイトルですか?今となっては、
まったく思い出せません。笑
韓国のおじさん、zzoosでした。

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