鹿児島で迎える最後の夜。
どこで夕ごはんを食べようか少し悩んで、
ようやく思い出したのが、ここ分家無邪気でした。
2017年に初めて鹿児島を訪れたとき、
この店の「黒味噌おでん」があまりにも美味しくて、
いつか必ずもう一度来ようと思っていた場所です。

お店は天文館の北側にある
細い路地の奥にあります。
すぐ目の前には、大きなチェーン店の
「天文館 吾愛人 本店」があります。
ここもきれいで広くて、
鹿児島の料理を色々食べられる大きな居酒屋です。
カウンター席も多いので一人でも入りやすい雰囲気。

もし目の前の吾愛人が
“きちんとした大きな居酒屋”だとしたら、
分家無邪気は“地元の小さな居酒屋”。
いや、もう少し正確に言うなら
ここは「酒場」です。
看板にも「大衆酒場」と書いてあります。
酒場というのは、居酒屋よりも
お酒に重きを置いた店のこと。
居酒屋が料理をしっかり出すなら、
酒場はまず“酒”、そして“つまみ”はシンプル。
「大衆酒場」とあるので、
価格もリーズナブルという意味でしょう。

扉を開けると、すぐににぎやかな空気。
観光客はほとんどいない、
地元だけの雰囲気が広がっていました。
ちょうどカウンターに一席だけ空きがあり、
運よく座ることができました。
なんとなく8年前と同じ席の気もする…。
メニューを見ると
「無邪気焼酎」というお酒があります。
たぶん店のオリジナルラベルでしょう。
どこかの蔵にお願いして
作ってもらったものだと思います。
まずはそのソーダ割りを一杯。

飲み物を頼んでから、
ゆっくりとおつまみのメニューを眺めます。
オクラ、ピーマン、ヌカコが80円。
これは8年前と同じ価格です。
その下の砂肝、レバー、鶏皮は100円。
本当に安い酒場です。

でも今日ここに来た理由は、これ。
黒豚ロースおでん。
分家無邪気は「黒味噌おでん」で有名な店です。
黒味噌というのは文字通り“黒い味噌”で、
濃い色の味噌を使ったおでんのこと。
日本のおでんは韓国で想像するものとは
ちょっと違います。
詳しい話はまた別の機会にするとして、
簡単に言えば、
同じだしで色々な具材を一緒に煮込む料理の総称です。
だから黒豚ロースをそのだしで煮込めば、
それはもう「黒豚ロースおでん」なのです。

大根をひとつ、
黒豚ロースおでんを二枚注文しました。
本当にずっと食べたかった一品。
初めて食べたとき、
この黒豚ロースのおでんに感動して
“黒豚”の魅力にすっかり落ちたんですよね。
柔らかくて、香ばしくて、
しっかりしただしと合わさって…まさに絶品。
…だったのですが、
もしかして記憶が美化されていたのかもしれません。
頭の中にある“あの輝く味”とは少し違いました。
もちろん、美味しい。
これは本当です。
でも、心の中に残っていた
あの圧倒的な味わいではなかった。
ちょっと“初恋に再会してがっかりした気分”というか…。
たぶん自分の記憶が美化されすぎていたのでしょう。
とはいえ、美味しいことは間違いない。
これは自信を持っておすすめできます。
ただ、僕の記憶がロマンチックになりすぎていたという話。

[次に、安い串物をいくつか頼みました。
ぎんなん、きびなご、いか、しいたけ、オクラ。
全体的にしっかり味がついていて、
お酒のおつまみに最高です。
特にきびなご。
こんなに小さい魚なのに、
どうして青魚のような脂をまとっているのか…。
さすが鹿児島を代表する味。
さて、このへんで一度立ち上がることにしました。
旅の最後の夜ですからね。
もう一杯、飲みに行きましょう。
韓国のおじさん、zzoosでした。

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