前の投稿でも触れましたが、
今回の旅の大きな目的のひとつは、
モクポの旧市街をゆっくり歩いて回ることでした。
モクポには、ほかの都市とは違って、
近現代の歴史が幾重にも積み重なったまま残っています。
そうした近代史の路地や街並みを歩くことこそが、
今回の旅におけるモクポであり、
その散策の出発点とも言える場所が、
モクポ近代歴史館 1館でした。

この建物は1900年に日本領事館として建てられ、
日本の植民地支配期には「モクポ府庁」として、
地域の行政と司法を掌握していた実質的な統治機関だったそうです。
当時、朝鮮半島南西部の重要な拠点だったわけです。


一般の住宅が木造であったのに対し、
この建物は赤レンガを積み上げた組積造の建築様式です。
近くにあるモクポ近代歴史館 2館も、
権威を強調した石造建築となっています。
官公庁の建物は、その威厳を示すために、
レンガや石材が使われたのでしょう。
こうした近代建築が、モクポには比較的多く残っています。

遅めの昼食を終え、
特に目的地を決めずに路地を歩いていました。
すると、遠くの丘の上に、
赤レンガの建物が目に入ってきました。
地図アプリで確認してみると、
それが近代歴史館だったのです。
事前に下調べをほとんどしない旅をするせいか、
こうして偶然に目的地が決まることも少なくありません。

目的地に近づくにつれて、人の姿が見え始めました。
冬のせいか、旧市街の路地はどこか閑散としていたからです。
寒い冬の平日昼間なら、人が少ないのも当然だと思っていました。
ところが、なるほど。
この建物は、有名ドラマ『ホテル・デルーナ』の撮影地だったのです。
そのため、ここではほかの観光客の姿を見ることができました。


建物のまわりを一周しながら写真を撮りました。
真冬の午後の風は冷たかったものの、
日差しは赤レンガの建物をいい具合に照らしていました。
襟を立て、ベンチに腰を下ろして喉を潤します。
風と日差しの中で、しばしの時間を過ごしました。
すでに「おじさん」のものになってしまった
膝や筋肉が、休憩を求めていたのです。


短い休憩のあと、再び歩き出しました。
山を下って旧市街をもう一度歩こうかとも思いましたが、
せっかくここまで登ってきたので、
もう少し上まで行ってみることにしました。
地図を見ると、すぐ隣にノジョクボン芸術公園美術館がありました。
美術館まで登ってから下り、
再び旧市街を歩く、という動線にしました。


地図や公式サイトの情報があまりにも少なく、
どんな場所なのか事前には分かりませんでした。
ところが実際に行ってみると、
思っていた以上に広い美術館でした。
1階では
「波の上の色、風の中の感覚」という企画展が開かれており、
2階はキム・アムギ美術館として運営されているようでした。
今回初めて知ったのですが、
キム・アムギ画伯は、キム・ファンギ画伯のいとこだそうです。
私がいちばん好きな美術館が、
キム・ファンギの芸術世界を記念するファンギ美術館なので、
なんだかより親しみを感じました。


まったく予想していなかったタイミングで、
偶然にも展示を鑑賞することになりました。
思っていた以上に良い展示で、
気持ちが少しあたたかくなりました。
目を引く作品もいくつかありました。
とくにキム・アムギ画伯の作品は、
大胆な筆致で、私たちの風景をあたたかく描いている点が魅力的でした。
展示を見終えたあとは、
再び旧市街の路地を歩くことにしました。
その話は、次の投稿で続けようと思います。
韓国のおじさん、zzoosでした。

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