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親子丼じゃなくて、親子ステーキごはん!

#6 味処魚松


レンタルした自転車で出水というまちをじゅうぶんに見てまわりたかったのですが、初日の夜の飲みすぎのせいで、とてもそんな体力はありませんでした。

どこか温泉や銭湯みたいなところで、あたたかいお湯につかって疲れをとりたかったんですが、出水駅のちかくにはそういう場所がないんですよね。タクシーで30〜40分ほどいかないと温泉がない。それであきらめて、ホテルの部屋でゆっくり休も…うとしたら、

あっ、ベッドの枕もとに大きなクモが一匹いるんです。

クモを見るのが初めてというわけではありません。家でもよく出会います。見つけても殺さないほうです。チラシやノートなんかでそっとすくって、窓の外に出してあげる。

ただ、今回のクモはちょっと大きかったんです。心臓がドキドキするくらいのサイズでした。どうやったらこのクモを外に出せるだろうかと考えました。結局いろいろ試して全部失敗して、ちょうどクモがカーテンにのぼったときに、カーテンのはしを窓の外に出して強くふって追い出しました。

これ、思ったよりずいぶん時間と体力を使いました。

:: 創業50年、出水の名店・味処魚松

クモとの格闘(?)を終えて、ようやくしばらくベッドに横になれました。そのあと、そろそろお腹がすいてきたころ、今度は夕ごはんを食べにまた出水の街なかへ出ました。

日がすこし傾いたこの時間の出水の路地は、ほんとうにきれいでした。でも体力がないので、路地を歩きまわって写真を撮ることはできませんでした。

あらかじめ調べておいた店へむかいます。ホテルからそう遠くありません。きのう遅くまで飲んでいたBASE&Co.とおなじ路地ですね。店の名前は味処魚松です。

味処というのは、おいしい店、といった意味じゃないですか。ですから店の名前は魚松と思っていいでしょう。

ひとりだと言うと、カウンターに座るようにと言われました。とりあえず芋焼酎をソーダ割りで頼みました。そうしたら一杯ではなく、写真のように一合で出てきたんです。そして氷のグラスとソーダ水を別に持ってきてくださいました。自分でつくって飲むスタイルですね。

この日は体調があまりよくなくて、最初に頼んだ焼酎一合を最後まで飲みきれませんでした。

あ、それからカウンターの横には、創業50周年をお祝いする花が置かれていました。今年で50周年になるようです。ここ出水ではけっこう有名な食堂なんでしょうね。

この魚松をたずねた理由は、いずみ親子ステーキごはんを食べるためです。

出水は鹿児島県で鶏がいちばん有名なところだと言いましたよね。それに2019年と2020年、二年つづけて日本全体でたまごの生産量1位になったこともあるそうです。

そんな有名でおいしい出水の鶏を観光客においしく味わってもらうために、街の有名な食堂が集まって開発したメニューが、いずみ親子ステーキごはんなんだそうです。

親子丼の、あの名前を応用したみたいですね。

文字どおり、鶏とたまごでいろいろな料理をつくった一式です。並べる料理の数がおおいので、カウンター席では食べられなくて、テーブルに移りました。

出水の街なかでも、たった三軒の食堂だけがあつかうメニューだそうです。実際に食べてみると、コストパフォーマンスがとてもすぐれた一式です。たったの1,800円で、前菜からデザートまで完璧なコースなんですから。

はじまりは鶏の焼きサラダです。もちもちした食感だったのでもも肉だと思っていたのですが、いま見るとむね肉のようにも見えますね。もも肉と勘違いするくらいのむね肉、というのは、もっとおどろきでしょう?

上にのったジュレは醤油のジュレなので、ソースのように一緒に食べればいいんです。思っていたよりずっとおいしくて、おどろきました。

つぎはたまごをつかった冷たいスープです。これもたまごの生ぐささよりも香ばしさが勝っていて、すっきりした味がします。

コース料理というよりは一式なので、デザートもぜんぶ一緒にセットしてくださいます。そして右下にあるのが、あの有名な出水のたまごです。

いずみラッキーたまごと呼ばれるほど、双子の黄身が出る確率がたかいそうなんですよね。あとで写真を見ればわかりますが、ほんとうにわたしも双子が出ておどろきました。

さて、そしてこれがメインの出水どりステーキです。

出水どりのもも肉とむね肉を、厚めに三切れずつ出してくださいます。おそらく骨を外したあとに形をととのえて冷凍したものだと思います。鉄板の上で焼いていると、骨を外した部分がすこしずつ開いてくることもあります。

鉄板で焼いた鶏肉は、三種類のソースにつけて食べます。わたしはいちばん左の、照り焼きソースのように見えるものが気に入りました。たぶん疲れていたからだと思います。いつもなら塩を気に入っていたはずです。

とにかくむね肉もぱさぱさしていませんし、もも肉はもちもちしています。それぞれの部位がちがう個性でおいしいんです。

あ、でもこのステーキには一つ問題があります。

やっぱりテーブルの上で火を使うじゃないですか。だから夏に食べるには、あついんです。(涙)

最後の肉を鉄板にのせながら、ごはんと汁物をくださいとお願いしました。

そしていずみラッキーたまごをごはんの上に割ってみたら、ほんとうに双子でした。ラッキー!

ごはんとたまごの上に醤油だれをかけて、よく混ぜました。香ばしいたまごかけごはんをつくるわけです。一緒に出てきたたまごの汁物と食べると、ほんとうにおいしいです。

でも、もうお腹がいっぱいすぎて、あのごはんを全部は食べられませんでした。

ごはんを半分以上のこしたままデザートに移りました。

今回もたまごをつかったプリンですね。考えてみれば、すべての料理に鶏かたまごをつかっています。だから親子なんですよね。

でも味がおたがいに重なりません。それが不思議です。サラダの鶏肉とステーキの鶏肉はおたがいに味がちがいますし。スープのたまごとプリンのたまごもニュアンスがちがいます。もちろんごはんに混ぜた生たまごも味がちがいます。

文字どおり、鶏とたまごでつくれるいろいろな料理と味の一式でした。

お腹いっぱい食べたら、体調もすこし回復した感じです。

それで出水の夜の街をすこし散歩しました。やっぱり出水の繁華街は本町のほうみたいなので、日が暮れたあとのようすが気になったんです。夜の街を散歩しながら、よさそうな店があれば軽く一杯やってホテルに戻るつもりでしたが、それは無理でした。

まだ旅のはじめのほうじゃないですか。しかも今回は毎日まちを移動する日程なので、体力を残しておく必要があります。

それで、こんなふうに旅の2日目をしめくくることにしました。

韓国のおじさん、zzoosでした。


zzoos

live in seoul, love in drink, snap in breeze