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わたしにとって金沢一番の海産物はこの海老!

#14 川端鮮魚店


ふう、今日はほんとうにきつい一日でした。強行軍でしたよ。

旅のなかで今日がいちばん天気がいいという予報でした。だから今日一日でまわりたいところがたくさんあったんです。おまけに午前中は金沢駅に行って白川郷行きのバスを予約するのにけっこう時間を使ってしまって。

昼食のあとは近江町市場からスタートして、大堀通りを歩いて、尾山神社に立ち寄って、金沢城を見てから、兼六園まで足をのばしました。こういうスケジュールが組めるのは金沢だからこそです。観光スポットがすべて歩いていけるくらいコンパクトにまとまっているんですよね。

その反面、一日でぜんぶまわりきれなかったら、また同じようなコースを歩くことになるという難点もあります。だから今日一日でぜんぶ片づけてしまいたかったんです。

兼六園を出る前に、ひさご池のそばのベンチに腰かけてタベログを開きました。今夜の夕食をどこで食べるか検索して、できれば予約もしたかったんです。今日はたくさん歩いて疲れていましたから。前の夜みたいに、あの店この店と雰囲気を確かめたり空席があるか確認したりしながら歩きまわる体力が、もう残っていなかったというか。

金沢の新鮮な海の幸をお酒とともに楽しめる場所を探していて見つけたのが、川端鮮魚店 片町店です。

タベログの評点が3.5もあるんですよ。この点数、今回の旅で訪れたお店のなかでも上位に入ります。タベログはかなり辛口な評価をするところなので、3.5以上というのは行列ができるほどの人気店という意味なんです。

ところが不思議なことに、グーグルマップの評点は3.1ととても低い。グーグルマップは評点がかなり甘いほうで、4点を超えていても大したことないお店も多いくらいですから、3.1はかなり危険な水準なんですよね。

正反対の評価。はたして実際はどうなのか。

予約の時間に合わせて入店しました。

お店の入口には、水槽のようなものに海産物が入れてありました。うちのお店は新鮮な食材を使っていますよ、とアピールしているような感じです。

マスターとおぼしき方が案内してくださったんですが、予約者の名前を見てわたしが日本人じゃないとわかると英語で話しかけようとされて、でもわたしが先に日本語で挨拶したら、ほっとしたような表情をちらっと見せて、日本語でお店のシステムを説明してくださいました。

席にはメニューとえんぴつ、それから注文用紙が置いてありました。メニューを見て食べたいものを注文用紙に書いて、席の横にぶら下がっているクリップにはさんでおくと、店員さんが来て持っていくというシステムでした。

注文のたびに日本語と漢字を「描く」のが大変でしたよ。

それでも救いだったのは、日本酒を注文するときは番号で指定できたので、ちょっとラクだったということでしょうか。

たくさん歩いたあとに席に着いたら、まず生ビールが飲みたくなりました。そんなにビールが好きなわけでもないのに。

というわけで、とりあえずビールを一杯注文してから、メニューをゆっくり見ることにしました。

ビールを急いで飲んでいたら、さっきのマスターがおつまみをサービスしてくれました。ノドグロの頭の唐揚げだそうです。

あ、もしかしてサービスじゃなくてお通しだったのかな?まあどちらにしても、これがとてもおいしかったです。カリッと揚げてあって、ぜんぶ噛んで食べることができました。ほんとうに香ばしい味で。

まず最初の注文は金沢を代表する魚、前の夜にも食べたノドグロの刺身です。いまは旬ではないけれど、昨日食べてみたかぎりでは、それでもおいしかったんですよね。

そして2番目の注文はアジでした。わたしがとても好きな魚なんですが、韓国ではなぜかなかなか食べられない魚です。写真にちらっと見える身の弾力と脂のりを見てください。

2種類の刺身を一皿に盛って出してくれました。味はもう言うまでもなくおいしかったです。

食事をしながら日本酒を2杯ほど飲みました。飲みすぎると夕食代がどんどん高くなってしまいますから。前の夜も思ったより費用がかかって、ちょっと驚いたんですよ。

ここで飲んだ日本酒は、農口尚彦研究所の本醸造酒 無濾過生原酒と、手取川 大吟醸生酒 あらばしりでした。

どちらも金沢が属する石川県の日本酒です。旅のあいだは、その土地のお酒を飲むものですよね。

まず一杯目は農口尚彦研究所の本醸造を注文しました。名前はかねてから聞き知っていた有名な日本酒の蔵元です。

本醸造は純米酒とちがって、醸造の過程でお米だけでなく醸造アルコールも使うことができるグレードなんですよね。

だから一般的には安いお酒が多いんですが。農口尚彦の本醸造は、そういった安いお酒とはまったく別の次元です。

醸造アルコールをどう使ったのかはわからないんですが、後味のえぐみをきれいに消してあるんです。

あきらかにわたしの好きなモダンなスタイルじゃなくて、もっと伝統的な日本酒に近いと感じるお酒なんですが、後ろに残るえぐみがなくなると、ものすごく魅力的なお酒に変わるんですよね。

じつはこのお酒、農口尚彦研究所でいちばん手頃なラインと言っていいお酒なんです。それなのにこれだけのクオリティなら、もっと高いお酒も飲んでみたくなる、そんな味でした。

2杯目は前の夜に飲んでがっかりした手取川のお酒です。

今日は昨日とはちがうお酒です。あらばしりというのは、醸造の過程で圧力をかけてお酒をしぼらずに、自然に流れ出た最初のお酒のことだそうです。

一般的に中間あたりに出てくる中取りがいちばんいいお酒とされていますが、あらばしりは最初のお酒という象徴性と、個性のある、ちょっと特別なお酒くらいに思えばいいかなと思います。

前の夜に飲んだ純米大吟醸 石川門よりも、今日飲んだもののほうがずっといいです。わたしの好みです。

昨日はお米の味がたくさんしてあまり好きじゃなかったんですが、今日飲んだのは手取川の個性がよく出た、すっきりしたお酒です。

その中に旨みもあって、さわやかな果実のような香りも感じられて、モダン系の日本酒だと思います。

おかげで手取川が気に入りはじめて、旅のあいだじゅうずっと手取川を飲みつづけて、帰国するときにも一本買って帰りました。

刺身をぜんぶ食べてから、ガスエビを注文しました。日本の外ではほとんど流通していない海老です。

旅の前に事前調査をして、金沢に行けば新鮮な海の幸がおいしいということは知っていました。

なかでも有名なのはノドグロで、有名な海老もあると見ていたんです。それがガスエビだと思って注文して、食べてみたらとてもおいしくて、ずっとガスエビばかり探して食べていました。

でも知らなかったんです。この辺りのスターはむしろ白えびだということを。

「有名な海老があるらしい」程度にしか思っていなかったので、その海老が2種類いるとは考えもしなかったんです。

だから残念ながら、旅が終わるまで白えびは食べることができませんでした。

とにかくこのガスエビ、ほんとうにおいしいんです。とろけるような身を噛んでいると、ほのかな甘みじゃなくて、後ろからぐっと押し上げてくる強い甘みがあります。

それまで食べてきた海老とは次元がちがう味がするんですよね。

だからわたしにとって金沢を代表する海産物は、ノドグロではなくガスエビになりました。

その後、その座はまた別の海産物に譲ることになるんですが。その話はまた今度。

ノドグロの刺身、ガスエビと高いものを食べているので、おなかはなかなか膨れないのに、費用はどんどん上がっています。

というわけでここらで安くおなかを満たせるものを一品注文しました。サゴシのすしです。サゴシというのはサワラの若い個体のことで、完全な子どもではなく、ティーンエイジャーくらいのやつを呼ぶ名前です。

このお店は特徴的で、魚を刺身でもすしでも注文できるんですよね。そしてサゴシのすしはこのお店のメニューのなかでもいちばん安いメニューのひとつでした。おなかを膨らませようと注文したんですが……

あ、決定的においしくないですね。

サゴシをはじめて食べるので、この魚がもともとそういうものなのか、このお店の仕込みがよくないのか、旬じゃないからなのかはよくわからないんですが。若い個体だから深みがないのはわかるんですが、身に弾力じゃなくて歯ごたえがかたい感じを受けました。

おいしくなかったから写真を撮るのも忘れてしまったんでしょうか。写真も残っていません。

最後に、メニューを眺めていてぶりねぎまというメニューが目に入って、注文せずにはいられませんでした。ぶりはブリのことで、ねぎまは焼き鳥屋さんでよく食べる、お肉と長ねぎを交互に刺した串のことですよね?つまり焼き鳥屋さんのあのねぎまを、鶏肉のかわりにぶりを刺して焼いたということじゃないですか?

気にならないはずがないですよね。というわけで即注文!

ぶりと長ねぎを一緒に食べてみると、うーん……あまり合わないですね。むしろぶりを別々に食べてから長ねぎで口を洗うほうがよかったです。

そして冬のぶりじゃないので脂が足りないんでしょうか。ぶりを焼くとぱさぱさになってしまって、わたしにはただそれだけのメニューでした。

ここまで食べてごちそうさまです。2軒目に行かないといけませんから。

このお店は空間も広くて海産物の鮮度もいいので、十分行く価値はあると思います。ただ料理が際立っているわけではありませんでした。結論として、このお店は観光客を相手にするカジュアルな居酒屋と言えるんじゃないかと思います。タベログで予約もできるので、悪くない選択だと思います。

もっといいお店に行くためには、足を使うしかありませんよ!

韓国のおじさん、zzoosでした。


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zzoos

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