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ローカルな路地の奥に隠れた、宝物のようなワインバー

#15 ひげの店


夕食を終えて外に出たら、すっかり夜になっていました。

4月の空気は、暑くも寒くもない、ほんとうにちょうどいい空気です。

夜になって少し涼しくなって、気分がよくなる。そんな夜でした。

今夜は、行きたいお店をあらかじめ決めていました。木倉町にある小さなお店です。旅の2日目の夜ですが、いつのまにか片町2丁目の路地が馴染んできました。昨日の昼からせっせと歩き回ったのが、よかったんでしょうね。

木倉町は片町2丁目のど真ん中に挟まれた通りです。この路地も片町のはずなのに、不思議なことにここだけ別の行政区域として括られているんです。たぶん金沢の歴史やそういったことと関係があるんでしょうね。

木倉町広場に到着しました。広場なんて仰々しい名前がついていますが、実際に行ってみると、ただの小さな町の公園です。

広場にしばらく座って、気持ちを落ち着かせました。これから行こうとしているのは、完全にローカルの世界だろうという気がしていたので。

やきとり横丁。昨日の夕食を探してあちこちを覗いていたときに、目をつけておいた場所です。やきとり横丁という名前だから、まるでやきとりを売るお店の名前みたいですが、そうじゃなくて木倉町の入口にある小さな路地の名前なんです。略してやきよこと呼ぶそうです。

細長い建物のなかに1区画ずつ別々のお店が入っている、とても狭い路地です。現金しか使えなさそうで、常連さんがいっぱいで、観光客はなかなか足を踏み入れにくそうな、そんな雰囲気のお店がぎっしり並んでいます。

広場で深呼吸して気持ちを整えてから、お店の扉を開けました。

あ、扉はもう開いていましたね。お店の名前はひげの店。オーナーの名前がひげさんだからこういう名前がついているんです。

挨拶をして入りました。お客さんは誰もいませんでした。8時をちょっと過ぎた時間は、ワインバーにお客さんが集まるにはまだ少し早い時間帯です。

お店はとても小さかったです。ひげさんが料理とワインを準備する小さなキッチンの前に、L字型のバーカウンターがあります。6人ほどがゆったり座れて、ぎゅうぎゅうに詰めれば8人ほどいけるかな?

まずは白ワインをグラスで注文しました。リスボニタ(Lisbonita)。かわいいリスボン?きれいなリスボン?まあそんな意味でしょうか。名前から察するにポルトガルのワインでしょうね。すっきりと爽やかな、いいワインでした。ワインのセレクションが信頼できそうです。

お客さんがわたし一人しかいないので、ついひげさんに話しかけてしまいます。お店の隅に「25周年」の記念カードがあったので聞いてみたら、去年25周年を迎えたそうです。

韓国から旅行に来たと言ったら、少し驚かれました。お店をどうやって知ったのかと聞かれましたよ。グーグルマップで見つけたと答えたら、うなずいてはくれたんですが、「金沢に初めて来た旅行者がどうしてうちに?」というような眼差しでした。

4人のお客さんが入ってきました。

そして自然な流れで、わたしに話しかけてきます。ここはそういう雰囲気のお店なんです。とても小さなお店で、常連さんが主に来る場所だから、会えば挨拶して話す、そんなところ。

韓国から来て、旅行中だと言いました。金沢には初めてだと言いましたよ。そうしたら「金沢に初めてなのに、ひげの店に来たんですか?」と驚かれましてね。なんというか、このお店は、金沢の人たちのあいだでも、ほんとうにお酒が好きな人たちが来るような、そういうほんものの場所なんだなと感じました。

4人のうち2人は東京から旅行に来たお客さんだそうです。金沢の友人たちが案内しているんですね。金沢の友人のうちの一人は、アルバムを何枚も出している演歌歌手だそうです。名前は友貴一彰ゆきかずあきさん、最新曲は「金沢片町、夜8時」。

もう一人お客さんが入ってきました。今度は女性が一人で入ってこられましたよ。

ひげさんがわたしを紹介してくれます。韓国から旅行に来た人だと。そしてその女性はひげさんの高校の同級生だそうです。東山の茶屋街のあたりにある日本酒真琴というお店で働いていらっしゃるとのこと。お店を終えてから一杯飲みに寄られたそうです。

少し後に、そのお店のオーナーであるまことさんも寄られました。いただいた名刺にきき酒師と書いてあるのを見ると、きき酒師の資格をお持ちのようです。

このお店は、後日また紹介することになります。わたしはこういうふうにご縁ができた場所はできるだけ訪ねるようにしているんです。数日後に夕食を食べながら日本酒を飲みに行きましたよ。ここもよいお店でした。

4人グループが去ってから、愉快な男性のお客さんが一人入ってこられました。

当然のように、わたし以外の全員と親しく挨拶されましてね。その隙にわたしもそっと挨拶しました。向久治むかいひさはるさんは新天地で弘幸ひろこというお店をされているそうで、今日が休みなのでいろんなお店を巡りながら飲んでいる最中だとおっしゃっていました。

とても印象がよくて愉快なおじさんで、どんなお店なのか気になって聞いてみたら、店内のお客さんみんなが強くすすめるんですよ。ちょうどわたしが「スナック」について気になってお客さんたちに聞いていたんです。弘幸がスナックの雰囲気を感じられるお店だということで、みんなすすめてくれたので実際に行ってみたら、

ああ、ほんとうにいい場所でした。このお店についてもまた後日ご紹介します。

ひげの店に入ったのが8時半ごろだったんですよ? お店を出たのは11時をとっくに過ぎた時間でした。約3時間、みなさんと笑って話して。

ひげさんは少しぶっきらぼうですが、セレクションしてくださるワインがとてもよくて、ぶっきらぼうさのなかににじみ出る親切さとユーモアが楽しい方なんですよね。そしてお客さんたちと一緒に笑って話した時間がとてもよかったです。

ひげさんは英語があまりお得意じゃないですが、お客さんたちがみなさん親切なので、日本語ができなくても大きな問題はなさそうですが、せっかくなら日本語が少しわかるともっと楽しい時間になるはずです。

ワインはボトルでも飲めますが、白、ロゼ、赤の3種類はグラスでも飲めます。わたしはちゃんと食べられませんでしたが、フレンチベースのお料理もとてもリーズナブルで美味しいそうです。

ほんとうに、このお店は今回の金沢旅行で見つけた宝物のような場所です。次に金沢に行くときは、ぜひまた訪れたい場所です。そして、おかげで前回の旅がとても楽しかったと、お礼を伝えたいです。

あ、お店がとても小さくて人気があるので、早めに行かないと席が確保できないかもしれません。

韓国のおじさん、zzoosでした。


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zzoos

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