[ ]

無骨で窮屈な、おじさんたちのアジト

#31 あかね


鹿児島市での2日目の夜。

きょうは、ちょっと独特な雰囲気のある場所へいきます。
鹿児島の唯一の(?)繁華街である天文館ではなく、市役所前のエリアです。
みんなが名山堀めいざんぼりとよんでいるところです。

正確な住所は名山町なんですが。
古い建物のあいだのせまい路地をぬけていく感じと、その風景が独特なところです。
大きなチェーン店よりも、個性あふれる雰囲気のお店があつまっています。

でも、写真をみて期待するよりも、ずっと小さな通りです。
じっさいにいってみると、すごくガッカリするかもしれない。
そんなところです。

:: 地元のにおいがたっぷり、あかね

まえにも一度、この路地にきたことがあるんですが。
そのとき目をつけておいたお店がひとつあります。
当時は満席で、あきらめるしかなかったところでした。

名山堀の路地を歩いていると、だれでも気になりそうな外観のお店。
あかねです。

年月の跡がたっぷり感じられる外観です。
手あかのついた木と、手書きの文字。
古いポスターと、ほこりだらけのカーテンと座布団。
正直、きれいとかスッキリしているとは言えないところです。

しかも、いまは真夏なのにエアコンもありません。
窓を全開にしています。

でも、まさにそういう雰囲気が、この場所を独特なものにしています。
そして、この雰囲気を完成させているのは、お店の中をうめている地元のおじさんたちなんです。

:: おすすめコース、7品の料理

今回もやっぱり、お店の中はおじさんたちでうまっています。
すみっこに席がひとつ残っていて、なんとかすわることができました。

メニューにはいろいろな料理がありましたが、あれこれえらぶのはかんたんではありませんでした。
上のほうに大きく書かれた「おすすめコース 2,200円」という文字が目にはいります。
となりには、小さな字で「7品」と書いてありますね。
2,200円で7品なら、なかなかよさそうです。

あ、しかも飲み放題つきですね!

それなら、これ以上なやむ必要はなさそうです。
おすすめコースで、今夜の晩餐をはじめましょう。

4種類の料理がひと皿に少しずつのったものが、いちばん最初に出てきます。
鳥刺し、ポテサラ、卵焼き、枝豆が、ひと皿にのって出てきますね。

鳥刺しもくさみがなくてスッキリしていて、ほかの料理も、すごい味ではないけれど、ふつうにおいしいです。

大きな器にはいったおでんも出てきます。

大根、さつま揚げ、こんにゃく、玉子のような定番のものですね。
長い時間じっくり煮込んでいるので、やわらかくて、だしもよくしみています。
量が多いので、しっかりおなかがふくれます。

揚げ出し豆腐は、揚げた豆腐に甘じょっぱいだしをかけた料理です。
仕上げに、かつおぶしをのせていますね。

わたしは個人的に、これがいちばんおいしかったです。
豆腐をとても上手に揚げていて、だしもおいしかったです。

最後には、手羽先が3本出てきました。
衣はほとんどなくて、塩とこしょうの味がしっかりしみています。

骨をとらないといけない面倒さはあるけれど、おつまみにはほんとうにいいヤツなんですよね。

:: 焼酎は飲み放題で

7種類もの料理といっしょに楽しんだ飲みものは、焼酎です。
鹿児島はいも焼酎の街だと、まえにお話ししたことがあるじゃないですか?

きょうの注文には飲み放題がついているので、思いきり飲めます。

焼酎は、お店の壁にならべてありました。
木でつくった焼酎の棚がふたつあります。
そこに置いてある焼酎を、自分でとってきて飲むスタイルです。
ちゃんと数えてはいないんですが、だいたい50種類以上の焼酎があったと思います。

ソーダ割りにしたいなら、炭酸水は別に注文しないといけません。
氷は、そのまま出してくれますね。

最初は、何度も飲んだことのある、よく知っているヤツからはじめます。
彩響あやひびき。
透明なボトルが特徴で、青ぶどうの香りがたちのぼる香り系の焼酎です。
鹿児島のコンビニでは、ソーダ割りの缶も買えます。
帰国するときに何本か買っておけば、家でも気軽に飲めるヤツです。

2番目は、ラベルに「ワイン」なんとかと書いてあったので、えらんでみました。
あとでわかったんですが、ワイン酵母で発酵させたという説明だったんですね。
白猿しろざるという焼酎です。
これはいも焼酎ではなく麦焼酎だそうですが、飲んでいるときは麦だとは気づきませんでした。
とてもスッキリした感じでした。

3番目は、ラベルがめずらしくてえらんでみた、じょうごです。
鹿児島県の奄美群島でしかつくれない黒糖焼酎だそうです。
日本では法律で、奄美群島でしか生産できないと決められているそうです。

ちなみに黒糖焼酎は、糖を加えたものではなく、主な原料が黒砂糖なんです。
穀物は糖化の過程をへてから、発酵によってアルコールができるんですが。
サトウキビからつくった黒砂糖はそれ自体が糖なので、糖化の過程がいらず、そのまま発酵でアルコールができます。

一般的には甘みがより強いと言われていますが、じつはそれはよくわかりません。
とにかく、おいしいということしか。

4番目は、名前が気に入ってえらんだ桜島。
黒麹を使った焼酎だそうです。
鹿児島でよく飲まれているデイリー焼酎だそうです。
たぶん、宮崎の黒霧島と似たようなポジションでしょうか?

5番目は、毎年あたらしいシリーズを出しているGLOWの8番目のシリーズ、ep.08です。
同じ会社のep.05は、最近韓国でもよく見かけるんですよね。
メロンの香りが独特で、人気を集めているようです。

ep.08は、特定のフルーツの香りとは言いきれないけれど、気持ちのいい、さわやかな香りが感じられる香り系の焼酎です。
今回の旅でも、何度も飲むことになりますね。

わたしはこれがかなり気に入って、そのあとはずっと、ep.08でソーダ割りをつくって飲みました。

とくに、となりの席のお客さんと話をしたわけではないのに、地元の気分をたっぷり感じられたところです。

飲んでいる途中で、若い韓国人の男性がひとりで入ってきました。
日本語はたどたどしかったけれど、翻訳アプリを使いながら、一生懸命話そうとしていました。
すると、となりの席のおじさんたちがみんなで注文を手伝ってあげて、あれこれ話をしていたんです。

こんな、あたたかい場面に出会えるところです。

暑い夏にエアコンがないので、正直に言うと、不便なところではあります。
お店の掃除の状態も完全に清潔とは言えないし、古い食堂特有の油のにおいのようなものも少しするところです。

でも、それを超えるなにかがあるところです。

すごい料理があるわけではないけれど、そのかわり値段が安いです。

鹿児島の裏路地の昭和の雰囲気、おじさんたちの酒場。
まあ、そんなところと言えばいいでしょうか。

韓国のおじさん、zzoosでした。


zzoos

live in seoul, love in drink, snap in breeze