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金沢での初散歩

#4 POP BY COFFEE


早起きした。いや、夜明け前から動いていた。フライトの時間が早すぎたから。ホテルに着いたのは正午。でもチェックインは3時からだ。

ちゃんと眠れなくて、疲れた体をホテルで少し横にしたかった。でもそうもいかない。スーツケースだけフロントに預けて、昼ごはんを探しに出た。

Googleマップで近くの洋食屋を見つけた。グリル オーツカというところで、ハントンライスが有名らしい。

ハントンライスは金沢を代表する料理のひとつ。簡単にいうと、オムライスの上にエビフライをのせてソースをかけた食べものだ。最近はトッピングを選べる店も増えてきたらしい。

ホテルから道を渡って、片町の裏路地に入った。たぶんこの旅のあいだ、ずっとうろうろすることになる路地だ。とりあえず今は座って休みたかった。しっかり昼ごはんを食べれば、少し元気が出るかもしれない。

あ、でも…

グリル オーツカがこんなに人気だとは思わなかった。日曜日のランチタイム。店の前には長い行列ができていた。京都の悪夢がよみがえった。予約なしではどの店にも入れなかった、あの悪夢。金沢にも外国人観光客がたくさんいるし、もしかしてここも同じ状況なんだろうか。

ハントンライスはまた今度にして、静かそうな路地のほうへ向かった。にぎやかなところから離れないと。そうしないと、ゆっくり休める場所は見つからない気がした。

地図もとくに見ないで、感覚にまかせて歩いた。静かそうな路地、食堂がありそうな路地へと、ひたすら歩き続けた。

考えてみれば、これが金沢での最初の散歩だった。意図したわけでも、目的地があるわけでもないけど、こうやって一本一本の路地を歩きながら、金沢の空気を体に馴染ませていた。

天気はよかった。木がたくさんあった。みどりが多かった。春に芽吹いた新緑が、街のあちこちにあふれていた。旅をするのにいい季節だと思った。

街並みは、日本の小さな町そのものだった。低い建物と狭い路地。ところどころに見える小さなお店たち。そして細く流れる用水路。金沢ははじめてだったけど、どこか懐かしいような感じがした。

そうしているうちに、また大通りに出た。いまどこにいるのか確認しようとGoogleマップを開いたら、ちょうど近くに松本というそば屋があった。ちょうどよかった。シンプルにそば一杯でも、いい昼ごはんになる。それに何より、早く座って休みたかった。

でも、あれ。

臨時休業だった。

まあ、そういう日もある。一度うまくいかなくなると、ずっとそのままの日。今日がちょうどそんな日みたいだ。もしかしたら、金沢と自分は相性が悪いのかもしれない。

よく使うたとえなんだけど、旅は生きているものみたいで、自分の思いどおりには進まない。旅が勝手に動いて、こちらを引っ張っていく感じ。今日はこういう日なんだ、と流れにまかせてみることも必要だ。

そしてふと横を向いたら、すぐ隣にカフェがあった。

日本には韓国みたいにカフェがあちこちにあるわけじゃない。いや、実は韓国にカフェが多すぎるんだけど。一本の路地に5、6軒もカフェがある国は、たぶん世界でもそうそうないと思う。

まあとにかく、運命だと思って入ってみたら、ちょうど席がひとつ空いていた。

ラッキー。

カフェの名前はPOP BY COFFEE。ちょうど簡単なサンドイッチも売っていたので、モッツァレラトマトサンドとアイスアメリカーノを注文した。

アメリカーノ?そういえばここはエスプレッソマシンを使っているところだった。自分の経験上、日本のカフェはハンドドリップを好む傾向があると思っていて。だからアイスアメリカーノよりアイスコーヒーを飲むことが多かった。幸い、自分もハンドドリップのほうが好きだし。

ここのコーヒーは、エスプレッソにお湯を足した、ほんとうにアメリカーノだった。でも香ばしさを出すために豆を焦がしすぎているわけでもなく、酸味を強調しているわけでもなく、すごく飲みやすいコーヒーだった。かなり気に入ったアメリカーノだった。

サンドイッチもとてもよかった。まずビジュアルがすごくかわいい。「写真撮って」と言っているかのように、きれいに盛り付けられて出てきた。

さっぱりしたきゅうりの漬物からは、日本らしさが感じられた。たぶんしょうゆも使っているんだと思う。にんじんのラペは思ったより酸味が少なかったけど、サンドイッチに添えて食べるのにちょうどいい、あっさりとした味だった。

絶妙だったのはパンで、サクサクしているのに食べにくくない程度でちょうどよかった。見た目には少なそうに見えたモッツァレラとトマトの量も、実際に食べてみると食べやすくて、バランスがぴったりだった。

大きなガラス越しに見える外の景色と、明るい陽射しが加わって、これもなかなかいい昼ごはんだなと思った。

チェックインまでまだ時間がたっぷりあって、足ももう少し休ませたかったのに、店の外に並ぶ人たちが出てきはじめた。

2人席を使っていたので、1人席に移らせてほしいとお願いして、プリンをひとつ追加で注文した。

たまごの香りが豊かに漂うプリンはしっかりと形を保っていて、その上に手作りというコーヒーアイスクリームがのっている。手作りだからだろうか、ふわっととろける質感のアイスクリームからは、かすかだけどいい香りのコーヒーの香りが感じられた。

やっぱり日本でのデザートはプリンが正解だ。

カフェから少し歩けば犀川だった。明日からは市内中心部の有名なところをまわることになるだろうから、今日は静かに川沿いを歩いてみようかと思った。

住宅街の路地を抜けて川沿いに出てみたら、うーん…ここはほんとうに地元の人が朝の散歩をするような川沿いだった。のんびりとした雰囲気は感じられそうだったけど、自分に必要なのは「金沢に来たんだ」という実感みたいなものだったから。

それで、別の場所へ向かってみることにした。その話はまた次のポストで。

韓国のおじさん、zzoosでした。


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zzoos

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