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雪に克つために、屋根はとがっていく。

#25 白川郷


白川郷。

いつかは行ってみたいと思っていた場所でした。雪に覆われたあのとがった屋根の風景は、写真が好きな人なら一度は撮ってみたい場面ですよね。夜景を撮るには一泊が必須だと思って、白川郷の民宿予約サイトも早めにチェックしておいたりしていました。

今回の旅の行き先を決めるとき、白川郷に行ってみようかなと思って、近くに金沢という街があることを知りました。そこもまた、伝統と現代が交わる、旅しやすい街だということもわかりました。それで、ふたつをまとめてひとつの旅にしてみたんです。

ただ、4月の白川郷は夜景を撮るほどの景色にはならないと思って、宿泊はしないことにしました。今回は日帰りでさっと行って、次は冬に一泊してみることにします。

あれほど白川郷に行きたかったのに、宿泊まで事前に調べておくほどだったのに、バスがどれだけ混むかということは、まったく考えていませんでした。

旅に出る前に金沢のことを調べてみたら、人口が40万人ほどの小さな街だとわかりました。だからわりと静かな場所だと思っていたんです。金沢にこれほど観光客が多いとは思っていなかったし、白川郷がこれほどの人気観光地だとは、文字どおり「まったく」予想していませんでした。

現地に着いた初日、IL MAREでいろいろ話しているときに白川郷に行きたいと言ったら、バスは必ず予約しないといけないと教えてもらいました。

そこでやっと気づきました。あ、わたしは何も準備していなかったんだ、と。

それで翌日、すぐに金沢駅へ向かいました。ネットで予約もできると聞いていたんですが、いざサイトに行ってみると、何をどうすればいいのかよくわからなくて。そういうときはやっぱり、人と顔を合わせて話すのが一番です。

金沢駅の西口を出て左にずっと歩いていくと、2階にサイゼリヤが入っているビルの1階に北陸鉄道チケットオフィスがあります。「鉄道」という言葉で混乱するかもしれませんが、それは単に会社の名前で。ここでバスの予約もできるんです。

オフシーズンだからか、幸いにもバスのチケットには余裕がありました。それでも当日券をその場で手に入れるのは少し難しくて。2日後の水曜日のチケットを予約しました。

予約を手伝ってくださったスタッフがとても親切で。英語はできない方だったんですが、わたしのたどたどしい日本語で何度も聞き直したり確認したりするのに、丁寧に対応してくださって。キャンセルが出るかもしれないと言って、何度も予約画面をリフレッシュしながらチケットを確認してくれました。

いよいよ4月22日水曜日、当日。朝8時を少し過ぎたころに金沢駅に着きました。8時40分にバスが2台出発するんですね。わたしは2号車でした。

これがちょっとわかりにくくて。ほとんどの案内は1号車を基準にしているんです。だから2号車と表示されている方は、乗車プラットフォームをしっかり確認する必要があります。

バスに乗って1時間半ほど走ったでしょうか。10時を少し過ぎたころ、白川郷ターミナルに着きました。

帰りのバスは午後3時10分。かなりゆったりした時間です。もう少し遅く出発して、もう少し早く帰りたかったんですが、その時間帯は事前予約が必要なゴールデンタイムでした。

でも、このゆとりあるバスの時間のおかげで、白川郷の隅々まで歩き回ることができました。

さて、白川郷を歩き回らないといけませんね。

白川郷ターミナルは小さな建物です。そして建物の周りはかなり広い空き地で。バスを降りてから、どこへ行けばいいのかわからなくて途方に暮れました。

グーグルマップを開いてみると、すぐ近くに荻町城跡展望台という場所がありました。まずは高いところから村全体を見下ろして、それから隅々を歩き回ろうと思ったんです。

ターミナルから展望台まで、それほど時間はかかりません。歩いて上がる道はよく整備されていて、そんなにきつくもないです。

展望台に上がると、まさに白川郷が眼下に一望できます。人はとても多いですが、村の風景を楽しむのに差し支えるほどではないです。写真を撮るのも、そんなに困りません。

ただ、旅に出る前にネットで見た冬の夜景とは、まったく違う景色です。冬の夜景の写真は「合掌造り」だけをライトアップしたものだったんですよね。だから他の季節、特に昼間に見ると、暗闇と雪に隠れているはずの道路や建物も一緒に見えてしまいます。

期待していたほど圧倒的ではなかったけれど、いい風景であることは確かです。

あ、この展望台の名前が荻町城跡展望台ですよね。ということは、ここはかつて荻町城があった城跡なんです。荻町城は石で積み上げた城ではなく、地形をそのまま利用して木の柵を立て、敵を見張っていた砦のような場所だったそうです。

合掌造りと呼ばれる独特の屋根の形。まるで手を合わせて合掌する姿に似ているからついた名前だそうです。こういう屋根の形で有名な村は、いくつかあります。

白川郷として知られる岐阜県の荻町、そして富山県の五箇山地域にある相倉菅沼の集落が、まさにそういった場所です。

これらの村はすべて、ユネスコの文化遺産に登録されています。

ただ、いまこの荻町の村、つまり白川郷が有名な理由は、村の規模が比較的大きく、交通の便がいちばんいいため、観光客が圧倒的に多いからです。

合掌造りと呼ばれるあのとがった切妻屋根は、自然に克つために生まれた形です。

この地域は、海から吹いてくる湿った空気が山脈にぶつかって、ものすごい豪雪が降るところなんです。だから屋根に雪が積もらないようにするために、とがった形の屋根になったわけです。

そのおかげで村は独特のビジュアルを持つことになって、いまではそれを見るために大勢の人が押し寄せる観光地になっています。

あの巨大な合掌造りは、おおよそ30〜40年に一度、屋根を葺き替えるそうです。一軒の家で見れば長い時間ですが、村全体で見るとかなりの数の屋根があるから、実際には毎年一、二軒ずつ葺き替えているそうです。

そのとき、村人全員が集まって一緒に作業するそうです。彼らの言葉でこれをゆいと言うんだとか。韓国でいえば、プマシ——昔ながらの共同作業の習慣——みたいなものですね。

実は、単純にあのとがった屋根だけでユネスコの文化遺産に登録されたわけではないんです。深い山の中で環境に克つために屋根がとがっていき、その屋根を葺き替えるために村が互いに助け合う文化とシステムを作った。そういったものがすべて織り合わさった、彼らの「生き方」が文化遺産として登録されたんです。

彼らの生き方には、もうひとつ独特な点があります。

まさにここが山また山の、とても深い山の中にあること。そして、ものすごい量の雪が降る過酷な環境の場所であること。そこから生まれたことなんです。

屋外で経済活動をするのが難しい環境だったため、家の中で経済活動をしなければなりませんでした。

合掌造りの屋根は高くとがって聳え上がるから、家の中には自然と2階、3階の空間が生まれました。1階では囲炉裏を囲んで生活して、その囲炉裏から立ち上がる煙が2階と3階を暖めます。

そうして暖まった2階と3階で養蚕をしながら生計を立てていったそうです。そして養蚕で得た蚕の糞を使って、床下では火薬の原料となる焰硝を作っていたそうです。

こうして見ると、あのとがった切妻屋根のはじまりは「雪が積もらないようにするため」だったかもしれないけれど、その影響は単純ではないんです。彼らの暮らしそのものが、あの屋根のデザインに影響を受けているわけです。

やっぱり建築は、人間と暮らしをそのまま映し出して、溶け込ませているんですね。

わたしは今日、金沢から白川郷までバスで往復しているんですが、白川郷への行き方は他にもあります。

かなり多くの観光客が選ぶルートは、高山を経由するものです。白川郷にいちばん近い街と言えるでしょう。バスで約50分ほどかかるそうで、予約不要の自由席バスも走っているそうです。

わたしのように金沢に滞在し続けるのではなく、宿を移動しながらこのあたりを旅する人なら、高山と白川郷をまとめて見られるコースになりますよね。

金沢とほぼ同じ時間がかかる富山からバスに乗る方法もあります。金沢よりも予約競争が少し少ないそうです。五箇山のほうの集落を経由するバスもあるそうです。

最後に、名古屋からそのままバスに乗る方法もあるそうです。およそ2時間40分かかるそうで。

名古屋から出発するなら、むしろ高山まで運行するひだ特急に乗るほうがいいんじゃないかと思います。ワイドビュー列車なので、渓谷の風景を楽しめるメリットがあるそうですから。高山からはバスを使って白川郷まで移動できるはずです。

それ以外にも、エアビーアンドビーやカヤックなどインターネットを検索してみると、別途人を集めて出発するさまざまなコースがあります。白川郷は人気の観光地ですから。

いつのまにか午後3時が近づいてきました。もうバスターミナルに戻って、金沢行きのバスに乗らないといけませんね。金沢に着いたら4時半ごろになるでしょう。

あ、それから、この投稿では省いた話があります。

お昼にそばを食べた話と、合掌造りの博物館のような感じの白川郷合掌造り民家園を見て回った話は、別の投稿でお見せしますね。

韓国のおじさん、zzoosでした。


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