今回の投稿も「街の風景」シリーズです。文章よりも写真が多い投稿なんです。
これまでの街の風景シリーズでは、金沢の繁華街である片町を横切る大通りと、片町の裏路地をお見せしてきました。今回は、金沢を流れる二つの川のうち、南側を流れる犀川の周辺エリアをお見せしようと思います。
繁華街でもなく観光地でもないので、少し地味な風景かもしれません。でも、むしろ金沢の日常を感じられる風景じゃないかなと思うんです。


片町の南には、犀川を渡ることができる犀川大橋があります。
日本で構造を保っている鉄橋の中でも、もっとも古い鉄橋のひとつなんだそうです。日本の登録有形文化財にも登録されている橋なんです。
ミント色の不思議な雰囲気があって、この橋から眺める犀川の風景がなかなかいいんです。暗くなると独特な雰囲気の街灯がともるんですが、それもなかなか見ものですよ。



犀川大橋の東側には、川沿いに「犀星のみち」という名前の遊歩道があります。
金沢出身の有名な詩人、室生犀星の名前にちなんだ遊歩道なんです。詩人は犀川を愛していたそうです。彼のペンネームにある「犀」も、犀川から取ったものなんだそうですよ。
川を愛して、その川の名前をペンネームに使った詩人と、その詩人をたたえるために詩人の名前をつけた遊歩道、というわけなんです。



片町から南へ橋を渡って、左手に見える丘の上の街が寺町と呼ばれる街です。
名前のとおり、お寺が集まっている街なんです。グーグルマップを見てもわかるんですが、ものすごくたくさんのお寺が集まっています。ほとんど一軒おきに一軒がお寺だと言ってもいいくらい、密集しているんです。
ここまでお寺が集まっている理由は、加賀藩の時代に、街のあちこちに散らばっていたお寺をこの街へ移したからなんだそうです。表向きはどんな口実をつけたのかわかりませんが、その本音は、城下町へ入る入口である犀川大橋の前の丘に、事実上の基地をつくっておくためだったそうです。
お寺のほかにも、この街には350年あまりの伝統を持つ料亭、つば甚があって、そのすぐ隣には谷口吉郎・吉生記念金沢建築館もあるんです。
なので、この投稿でこのあと紹介する別の街は、無理に行ってみなくてもいいんですが、ここまで紹介した場所は、軽い散歩がてら見て回る価値はあります。



片町から南へ橋を渡って、右手に見える街が野町と呼ばれる街です。にし茶屋街がある区域なんですよ。
さきほど言ったように、犀川大橋は郊外の地域から金沢の城下町へ入る関門になる場所なんです。だから西側の野町の区域は自然と商業が発達して、旅人のために形づくられた飲み屋街が、まさにこのにし茶屋街なんです。
ひがし茶屋街が格式があって華やかな飲み屋街だったとすれば、にし茶屋街は、素朴で庶民的な情緒を漂わせる場所だと言えるかもしれません。



にし茶屋街が気になって歩きはじめたんですが、ありふれた街の雰囲気のままに、足の向くまま歩いているうちに、文字どおり「観光」とはなんの関係もない、ただありふれた「暮らし」の通り、「日常」の路地に出会いました。
こういうのも、金沢の姿のひとつなんでしょうね。


にし茶屋街に着いたんですが、正直、あまり見るものがない場所でした。
日が暮れて街灯がともれば、雰囲気のいい写真を一枚くらいは撮れるかもしれません。
でも、100メートルほどのとても短い通りを見るために、わざわざここまで歩いてくる必要があるのか、という問いへの答えはノー。あえてそうする必要はないかな、という気がします。
金沢の伝統的な通りを見て回るなら、ひがし茶屋街か長町に行くほうがいいと思います。




あまり見るものがない街でしたが、それでも歩きました。華やかな観光地だけを見に来たわけではないですから。
こうして日常と暮らしが色濃くにじむ通りを歩きながら写真を撮るのも、楽しいことのひとつなんです。むしろ、こっちのほうが、より「本物」の金沢でしょうから。




今度は犀川の北側です。片町の東南へ、犀川大通りに沿って行くと、繁華街から少しずつ離れていきながら、金沢の暮らしと日常をのぞける街々が現れます。
新竪町商店街は、文字どおり地方の小さな町の、くたびれた商店街なので、観光地の商店街や市場とはまったく違う雰囲気を見ることができます。
そして、偶然見つけた天狗中田という精肉店の本店があります。金沢を代表する精肉店なんだそうです。開業して100年を超える老舗です。創業者の鼻が大きくて天狗というあだ名があって、それをお店の名前に使ったという話があるんですよ。
とても品質の高い肉を使っているところだそうです。お店の中をのぞいてみると、コロッケやメンチカツなどを売っていて、思ったより値段が安かったんです。いくつか買って帰って、ホテルでお酒のつまみにしたらちょうどよさそうな、そんなお店です。
今日紹介した場所は、じつは大した観光スポットではありません。なので、短い日程で金沢を旅するときには、無理に訪れる必要のない場所たちなんです。
ただ、人の多い金沢の観光地ではなく、もしかしたらこういう通りこそが金沢の本当の姿なんじゃないか。
まあ、そんなふうに思わせてくれる場所ではあるんです。
観光客の活気のかわりに、金沢の人たちの本当の息づかいと歳月の重みが、静かに沈みこんでいる街だという気がする場所です。
華やかな見どころがなくて物足りないんですが、不思議と、その物足りなさには独特の雰囲気があるんですよね。
韓国のおじさん、zzoosでした。

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