朝早くから起きてうろうろしていたので、いつもより少し早くお腹が空いてきました。白川郷には食事のできるお店がそれほど多くありません。それに比べて観光客はとても多いので、お昼の時間になったら混み合うだろうなと思って。
午前11時。ランチには少し早い時間ですが、混む前に食事をするにはちょうどいい。
Googleマップで乃むらというそば屋さんを見つけました。お店の前に行ってみると、「手打ちそば処」と書いてあります。手で麺を打つそば屋さん、ということですね。


「処」という表現を見て、ふと気になることがありました。
日本でお店の名前を見ていると、末尾にいくつかの言葉がつくことがあります。たとえば「屋」がつくこともあれば、「店」がつくこともある。それぞれどんな意味やニュアンスを持っているのか、気になってきたんです。それで少し調べてみました。
まず「店」は、もっとも標準的で客観的な「お店」という意味です。少し無味乾燥な表現でもありますね。
旅行中いちばんよく目にする「屋」は、そば屋、ラーメン屋、居酒屋、立飲み屋など、直感的で親しみやすい庶民的な感じ。だからいちばん多く見かける表現なんでしょうね。
「場」は、酒場のように、人が集まってにぎやかに何かをする活気あふれる行為がくりひろげられるばしょ、という意味だそうです。専門性よりも、その雰囲気そのものを伝えるニュアンスといったところでしょうか。
「処」は、商業的な色合いを取り除いて、専門性を込めた特別なばしょ、という意味とニュアンスを持っているそうです。今日のこのお店は「そば処」ですから、「そば屋」よりも専門的なところだという意味を込めたかったんでしょうね。以前、唐津の旅で呑処を訪れたこともありました。あそこはお酒に本気だという意味を込めていたんだと思います。
「坊」という名前はあまり見かけないのですが、常連さんが集まる居間のように、無骨でありながら温かみがあって、芯の強さを感じる言葉だそうです。主にお好み焼きやもんじゃ焼きを出す庶民的なお店、あるいは気軽に立ち寄れる居酒屋の看板でたまに見かけるとのこと。
そのほかに「庵」は、俗世を離れたような感じ、文学的で風雅なイメージです。大量生産せず一日に決まった量だけ売る伝統的なそば屋、深い路地に隠れた喫茶店、あるいは静かにお酒を楽しむ高級料亭などで主に使われるそうです。蒼井優が主演したドラマ「おせん」に登場するお店の名前が一升庵でしたね。
「亭」もやはり高級なお店で主に使われる言葉です。少し値の張る伝統料理の専門店、お肉をしっかり焼いてくれる焼肉屋、あるいは長い歴史を持つ洋食レストランなどで使います。韓国でも「亭」で終わるお店は少し高級な感じがありますよね。
「楼」も高級なお食事処で使われますが、規模が大きい感じがします。100年を超えるとても大きな伝統的な旅館、開化期のころから続く由緒ある中華料理の専門店、あるいはとても格式高い料理のばしょでしか見られない表現だとか。
これからはお店の名前を見れば、どんな雰囲気のお店か大体見当がつく……ようになるでしょうか?


お店に入ると、お客さんがほとんどいません。少し早めのランチにしようと決めたのは、とてもよい選択だったようです。
ゆっくりメニューを選ぶことができましたが、正直メニューはそれほど多くなかったです。もりそば、とろろそば、おろしそばがすべて。セットで注文するとごはんがついてきます。白いごはんではなく、野菜などを入れて炊いた炊き込みごはんのようなものです。
温かいそばはかけそば、とろろそばがありましたが、暑い日だったので温かいものを食べる気にはなれませんでした。
少しメニューを眺めてから、冷たいとろろそばを注文しました。
白川郷は急峻な山の中なので、田んぼを作ることができず、お米が育てられなかったそうです。それで昔からそばを育ててきたんですって。このお店では今も白川郷のそば粉で打った麺を使っているようです。
とろろというのは、山芋をすりおろしてとろとろにしたものです。ごはんやそばの上にのせて食べる、どこか田舎のおばあちゃんを思わせる食材です。
ちなみに白川郷は深い山の中なので山芋がたくさん採れそうですが、意外にも山芋がまったく採れない地域だそうで、昔から他の村から山芋を買って食べていたとのこと。山里の人たちにとって、山芋は大切な滋養食だったんですね。

これがとろろそばです。
冷たいつゆにそばの麺を入れ、その上に山芋をすりおろしてのせました。これがとろろです。仕上げに卵の黄身をのせて。旨みを加えるために、きざみのりを添えています。
一緒に出てくる副菜は、たくあん二切れだけです。
味はどうだったかって?
とてもおいしくいただきました。
つゆベースのだしは少ししょっぱいのですが、このつゆはお椀を持って飲むためのものではなく、麺につけて食べるためのもの。そこにとろろが加わると、食感がいっそう豊かになります。
ちなみにメニューを見ると、とろろそば以外におろしそばというものがあります。おろしというのは、大根をすりおろしてのせることをいいます。

晴れていて少し暑くなってきていましたが、冷たいそばを一杯食べたら、なんだか生き返った気がします。
入店して注文して、約5分後にそばが出てきて、15分で食べ終えましたから、これはもうファストフードと言っていいんでしょうか?
とにかく、みんなより少し早くランチを済ませましたから、次は白川郷のいちばん南、人が混み合わないところへ行ってみようと思います。
次の投稿に続きます。
韓国のおじさん、zzoosでした。

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