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鍋島じゃない鍋島 – ウラ鍋島

#29 むすび木


最終日の夜、
今日は日本のどこかの裏通りにありそうな
町中華で一杯やりたいと思っていました。

でもお店選びを失敗してしまって、
あまり気に入らない料理で
お腹だけいっぱいになって出てきました。

ちなみに町中華とは、
中華そば、チャーハン、餃子などを中心に出す
小さくて少し古い感じの町の中華屋のことです。

軽い中華料理もあるので、
お酒も一杯飲める場所です。
日本のドラマや映画でたまに見るようなお店ですね。

こういう小さなお店は、
むしろ唐津のような地方都市では続きにくいそうです。
大きな都市に行かないと
なんとか残っているくらいだと言っていました。

二軒目に来たのは、
日本酒バーです。

日本酒バー…と言ってもよさそうです。
簡単な料理もあって、日本酒以外のお酒もありますが、
やっぱり主役は日本酒のようです。

しかも新政や而今のような日本酒も扱っているみたいで、
気になっていたお店でした。

米と酒 むすび木
という名前のとおり、
むすびをいろいろな種類で出しています。

それ以外にも簡単な料理をいろいろ作ってくれて、
そしてさりげなく、
メニューになくても作れるので
なんでも言ってください、と言われました。

日本酒のメニューは意外とシンプルでした。
新政、而今、田酒、鍋島は2種類、
そして基峰鶴、万齢、瀧。

有名な日本酒と、
佐賀の日本酒、
そして唐津の日本酒がそろっています。

そしてその値段が、
とてもやさしいです。

まずは新政から飲もうと思ったのですが、
新政と而今はちょうど品切れでした。

なのでまずは
瀧の特別純米からスタートして、
次は鍋島の山田錦 純米吟醸にしました。

瀧は唐津の日本酒です。
初めて飲みました。

名前のとおり、
滝のようにすっきりしたお酒でした。

今回の旅で飲んだ
唐津や佐賀の日本酒は、
全体的にそういう印象が強かったです。

すっきりしていて、さわやか。

あるものは刃物のように鋭く、
あるものは小川のようにやさしく、
違いはあるのに、
どこか同じ方向を感じました。

佐賀の酒造りは、
「やりすぎない」ことだと聞きました。

そのバランスが、
伝統を守りながらも
現代的な感覚を失わない
調和を作っている気がします。

その中でも
鍋島の山田錦は少し完成度が高いです。

米の持つ構造を残しながら、
全体のすっきり感もいいです。

次は
基峰鶴 超辛口 純米。

おととい飲んだ万齢の超辛口と同じく、
「まったく甘くない」ことをうたっています。

面白いのは、
香りがいいお酒は甘さを持つことが多いのに、
佐賀の超辛口は
甘くないのに香りがちゃんと残っているところです。

飲んでいるときに、
隣に日本人の旅行者が一人座りました。

そして流ちょうな日本語で(当然ですね)、
いろいろな日本酒を聞いて
注文していました。

すると女将さんが、
隠しているお酒があるけど
飲んでみる?と言って
何かを出してきました。

それがこれ、
ウラ鍋島です。

ラベルには
鍋島という文字が
鏡のように左右反転して書かれています。

純米吟醸 生酒とも書いてあって、
左下には隠し酒とあります。

つまり「隠された酒」です。

これは鍋島の公式ラインではないからです。
限定でも特別でもありません。

むしろ、
知っている人にだけ
こっそり出すお酒、という感じです。

それが「隠し酒」という言葉の意味で、
この酒がウラナベシマと呼ばれる理由です。

今回の旅で飲んだ日本酒の中で、
間違いなく一番おいしかったです。

いくつかのタンクから
いい部分だけを集めてブレンドした、
という話もあるそうです。

うまみも香りも豊かで、
正直、一口飲んだ瞬間に
今日飲んだ他の酒と比べるのが
申し訳ないと思うくらいでした。

それでも、
今まで人生で一番おいしかった酒と比べると、
そこまではいきません。

今回の旅では一番、
でも人生では違う。
そんな感じです。

だから、
手に入りにくくて
流通も限られていて
とてもおいしい日本酒ではありますが、

誰かの人生最高になるほどの酒というよりは、
体験として飲みに行く酒、
という言い方が合っていると思います。

なんとなく気づいていましたが、
このお店では
メニューにある日本酒だけがすべてではありません。

女将さんに相談すると、
そのときに合う酒を
出してくれることもあります。

今回は
隣の旅行者が
聚楽太閤 上撰を頼んだのですが、
ボトルのみと言われて
私はあきらめました。

でも突然、
女将さんが店にいる全員に
一杯ずつサービスしてくれました。

聚楽太閤も唐津の酒です。
やはり基本はすっきりしています。

ただ…
サービスになった理由も
なんとなくわかる気がしました。

少し保管が長かったのかもしれません。

すっきりした味のあとに、
少しだけ異臭がありました。

最初は麹の香りかと思いましたが、
やはり普通ではない感じでした。

だから、
これ以上遅くなる前に
サービスで出したのは
いい判断だったのかもしれません。

とにかく、

今日はここ、むすび木で
とても特別な体験ができました。

ウラナベシマを
飲むことができたからです。

佐賀で一番有名な日本酒といえば、
やはり鍋島でしょう。

その次は七田でしょうか。

唐津は佐賀で二番目に大きい都市なので、
ここでよく見かける日本酒の一つも
やはり鍋島です。

多くのお店で置いてありますが、
だいたい特別純米くらいです。

韓国より安いですが、
韓国でも飲める酒なので、
むしろ唐津の酒を中心に飲んでいました。

そして、
本当に偶然、
ウラ鍋島に出会いました。

やっぱり佐賀に来たなら、
佐賀の酒を飲むのがいいですね。

日本の旅の楽しさの一つ、
その土地の酒を飲むこと。

韓国のおじさん、zzoosでした。


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zzoos

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